最近、昔のゲームについて調べていて、ふと思った。
カルドセプトは復活したんだよな。
しかも、ただ昔のゲームを安く移植しただけではない。
『カルドセプト ビギンズ』は、シリーズ10年ぶりの新作としてかなり本気で作られている。
一方、同じように「新作が欲しい」と長年言われ続けている『ルナティックドーン』は、いまだに新作が出ない。
この差はいったい何なのだろう。
カルドセプトは10年休んでいた
前作『カルドセプト リボルト』が発売されたのは2016年。
そこから約10年。
2026年7月16日に『カルドセプト ビギンズ』が発売された。
長期間新作が出ていなかったシリーズなので、状況だけ見ればルナティックドーンと少し似ている。
熱心なファンは残っている。
新作を希望する声もある。
でも長い間シリーズは動いていない。
そういうIPだった。
ところがカルドセプトは、本当に帰ってきた。
しかも「とりあえず復活」ではなかった
ここが重要だと思う。
『カルドセプト ビギンズ』は、
「昔のファンが少し買ってくれればいい」
という規模の復活には見えなかった。
発売よりかなり前からプロモーションを展開し、動画企画や配信者を使った対戦企画も行っていた。
キャラクターデザインも現代的になった。
UIも作り直された。
ゲームシステムもシリーズの基本を残しながら、現在のプレイヤーが入りやすい形へ調整されている。
つまりメーカー側も、
「昔のカルドセプトをそのまま出す」のではなく、「2026年に売るカルドセプト」を作ろうとしていた
のだと思う。
これは休眠IPの復活方法としてかなり興味深い。
大宮ソフトが全部作ったわけでもない
さらに面白いのが開発体制だ。
カルドセプトといえば大宮ソフト。
ところが『カルドセプト ビギンズ』は、大宮ソフトが昔と同じように全部を自社開発したわけではない。
大宮ソフトはシリーズを監修。
実際の開発はグランディング。
販売・プロデュースにはネオス。
つまり、
昔のIPを持っている会社
+
現在ゲームを作れる開発会社
+
販売や宣伝を担当する会社
という形で復活させている。
これ、結構重要じゃないだろうか。
「昔のスタッフがもういないから続編は作れません」
「今の会社規模では無理です」
という問題は、必ずしもシリーズ終了の理由にはならない。
作品の核を知っている人間が監修して、実制作を現在の開発会社へ任せる方法がある。
カルドセプトはそれを実際にやった。
それならルナティックドーンだって……
ここでどうしてもルナティックドーンを思い出す。
ルナドンも、復活してほしいゲームの話になるとかなり頻繁に名前が出るシリーズだ。
完全な一本道RPGではなく、
冒険する。
仕事をする。
悪人になる。
善人になる。
仲間を作る。
結婚する。
歳を取る。
好き勝手に生きる。
今風に言えば、オープンワールド、サンドボックス、人生シミュレーション的な要素を昔から持っていた。
むしろ現在のゲーム市場の方が、ルナドンの思想を理解しやすいのではないかと思う。
それなのに新作は出ない。
アートディンクに技術力がないわけではない
これもカルドセプト以上に不思議なところだ。
ルナティックドーンを作ったアートディンクは今も健在。
しかも、
『トライアングルストラテジー』
HD-2D版『ドラゴンクエストIII』
『ドラゴンクエストI&II』
などの開発を担当している。
つまり、
「今のアートディンクには大規模RPGを作る能力がない」
とは到底言えない。
むしろ技術力は十分ある。
自社タイトルでも『A列車で行こう』シリーズは現在まで継続している。
さらに近年は「ARTDINK GAME LOG」で『太陽のしっぽ』『アクアノートの休日』など、昔の自社IPまで掘り起こし始めた。
そこまでやっている。
なのにルナドンは出ない。
たぶん最大の問題は採算なのだろう
カルドセプトとルナドンを比べて、一番違うのはここなのかもしれない。
カルドセプトはシリーズ累計100万本を超えるIPで、カードゲームという分かりやすい核もある。
さらにネオスなど外部企業が、
「今もう一度カルドセプトを売れる」
と判断した。
その結果、開発会社を組み直し、プロモーションまで含めて本気の再始動になった。
ルナティックドーンはどうだろう。
新作を希望する人はかなりいる。
私も欲しい。
でも、
「発売したら本当に何万人が定価で買うのか」
となると急に分からなくなる。
アートディンクには大型受託案件もある。
ドラクエを作っていれば、契約に基づく売上が期待できる。
その人員を数年間ルナティックドーン完全新作へ投入して、本当にそれ以上の利益が出るのか。
会社として考えれば、当然そこを見る。
だからルナドンは、
作れないゲームではなく、企画として採算の証明が難しいゲーム
なのかもしれない。
でもカルドセプトは、その壁を越えた
ここが希望でもある。
カルドセプトだって10年間新作がなかった。
それでも、
「今の市場向けに作り直せば成立する」
と判断した企業が現れた。
開発体制を再構築した。
デザインも変えた。
UIも作り直した。
プロモーションにも力を入れた。
そして本当に新作を発売した。
つまり、
長期間止まっていたIPだから復活できない
わけではない。
必要なのは、
「誰が作るか」
「誰が金を出すか」
「現在の客にどう売るか」
を組み直すことなのだろう。
初代カルドセプトより「セカンド」が懐かしい人も多いのでは?
個人的に少し気になるところもある。
今回の『ビギンズ』はタイトルからして原点回帰色が強い。
同時期には初代カルドセプトを復刻する『カルドセプト ザ ファースト』も展開された。
シリーズ再始動の最初として「原点」に戻るのは理解できる。
でも、ある年代のプレイヤーにとって、
カルドセプトといえば『カルドセプト セカンド』、特にPS2の『セカンド エキスパンション』
という人もかなりいるのではないだろうか。
私もいまだにPS2版を持っている。
初代から遊んでいた人だけではなく、PS2時代にカルドセプトへ入った人もかなり多かったはずだ。
今後シリーズが続くなら、セカンド時代のカードやマップ、雰囲気をどう拾っていくのかも気になる。
それだけでも、
「昔のIPを復活させる」とは単なるリメイクではなく、
どの世代の記憶を復活させるのか
という問題なのだと思う。
ルナドンも「昔のまま」ではダメなのだろう
だからもしルナティックドーンが復活するとしても、
昔の画面を高解像度にして終わり、
では弱いと思う。
カルドセプト ビギンズのように、
ルナドンの核――
自由に生きる
世界が勝手に動く
自分の行動によって人生が変わる
という部分は残す。
その上で、
UIを現代化する。
NPCをもっと賢くする。
人物関係を増やす。
経済や勢力を動かす。
世代交代を深くする。
ランダムイベントを増やす。
SteamやSwitchで遊びやすくする。
つまり、
2026年のルナティックドーン
を作る必要がある。
それなら昔のファンだけでなく、RimWorldやKenshi、Crusader Kings、各種サンドボックスゲームを遊んでいる現在のユーザーにも届くかもしれない。
カルドセプトができたなら、ルナドンにも可能性はある
カルドセプトの復活を見ていると、
「古いIPだから無理」
という言葉は少し説得力を失う。
大宮ソフトのような小さな会社が関わるIPでも、
別会社と組み、
現代向けに再設計し、
本気で宣伝し、
新作として復活させることができた。
一方のアートディンクには、
現在もゲームを作れる人材も、
大型タイトルを手掛けられる技術も、
自社IPを再発掘する仕組みもある。
だからルナティックドーンについては、
「もう作れない」
ではなく、
「まだ作る決断をしていない」
の方が近いのではないだろうか。
カルドセプトは10年ぶりに帰ってきた。
アクアノートの休日まで帰ってきた。
だったら、
ルナティックドーンが帰ってくる世界線だって、別にそれほど荒唐無稽ではない。
問題はただ一つ。
アートディンクに「これは金になる」と思わせられるだけの数字があるかどうか。
そこなのかもしれない。
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